- 2024.03.16
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- 成年後見・任意後見
任意後見契約と併用してさらに備える(財産管理等委任契約について)
任意後見契約は、現時点で本人は健康だけれども将来、判断能力が低下した場合には任意後見を利用したいという趣旨の契約です。本人の健康な状態が続く限り任意後見契約の効力は生じません。そして本人の死亡により任意後見契約は終了します。しかし本人の状態によっては任意後見契約ではカバーしきれない次のようなケースもあります。
- 本人が一人暮らしでいつ認知症を発症して任意後見をスタートさせるのかタイミングをつかむことが難しい
- 認知症の前兆はないものの足腰が不自由であったりして身体が十分に動かない状態で財産管理をすぐにでも第三者に任せたい
- 本人に相続人がいない、もしくは近くに頼れる親戚がおらず本人死亡時に葬儀・納骨の手配や行政への届け出、クレジットカードや携帯電話の契約等の死後事務を執り行う人がいない。
上記のような場合、任意後見契約と併用してご本人のニーズに合った委任契約を締結することで足りない部分をカバーすることができます。
そのひとつとして、まず今回は財産管理等委任契約についてご説明します。
財産管理とは受任者が委任者の財産を適切に管理することです。委任できる内容としては次のようなものがあげられます。
- 権利証や通帳や有価証券の管理
- 銀行から預金の引き出し、振込手続き、口座の変更・解約
- 賃貸不動産の家賃収入の管理や物件管理・修繕等の手配
- 生命保険の加入や保険金の請求
- 光熱費、家賃の支払い
- 役所での住民票や戸籍の取得、税金の申告等
任意成年後見制度が利用できるのは「本人の判断能力の減退」が認められる場合に限られますが、財産管理等委任契約はそのような要件が定められていないので、今すぐに財産管理を第三者にゆだねたい場合や判断能力の減退が認められる前から手続きを代行してもらいたい場合に活用できます。
財産管理等委任契約は私的な文書による契約も可能であり後見登記もされません。そのため後見人と比べると社会的な信用が十分ではない部分がありますので契約書の作成は司法書士等の専門家に依頼したり、公正証書で締結するのがおすすめです。