- 2024.03.16
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- 成年後見・任意後見
任意後見契約と併用してさらに備える(遺言書作成)
遺言には法的効力があるため、遺言能力が必要です。遺言能力とは遺言内容を理解するのに必要な能力です。任意後見契約と同時に公正証書遺言を作成することも、任意後見契約の後で本人が元気なうちに気持ちを整理しながら後追いで遺言を作成することもできます。ただし本人が判断能力を失ってしまうと、それ以降は遺言書を作ることができません。認知症等で意思能力がない方の法律行為は無効となりますので、遺言を作成することを予定している場合は、できれば認知症を発症する前に遺言を作成する必要があります。
そこで、元気なうちに「任意後見契約」をして、亡くなった時の備えとして「遺言書」を作成することがおすすめですが、できれば同時に作成し任意後見人が遺言書の内容も認識しておくことができるのが最良かと思います。遺言書の内容に基づき、任意後見の際の財産管理を行うことができれば本人にとっては最も望ましい方法ではないでしょうか。
遺言書は、任意後見契約と同時に作成されるのであれば公正証書で作成されることをおすすめします。任意後見契約は公正証書で作成しなければなりません。任意後見契約と遺言書を同時に作成することは、一度の手間で二種類の公正証書を同時に作ることができるため、実費を除く費用や手間暇を削減することができます。
また、遺言書を作成する際には任意後見契約で用いるような「財産目録」を作成することが一般的ですが、公正証書で遺言を作る場合、財産目録の書式や内訳は、ほぼ任意後見契約で用いるものと同様のもので構いません。そのため、同時に両方の契約をする場合は書類作成の手間暇も軽減できます。
遺言書の内容としては、財産を現預金、不動産、有価証券、権利(借地権、営業権、著作権、特許権等)、物品(車や宝石等)、負債(各種ローン等)といったカテゴリーごとに項目を分けて記載し、更に例えば現預金については「〇〇銀行定期預金1000万円」といった具合に細目を記載していきます。そのうえで、相続させたい人が「誰」で、かつ誰に「何」を相続させるのかについて具体的に記載しておくことが望ましいです。「誰」については、行いや本人との関係性が良くなかった特定の人を「廃除」することもできます。
遺言書は一度書いてしまったら二度と書き直しができないと思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、遺言書は書き直すことができます。判断能力があるうちは遺言書を書き直すことが可能です。状況が変わったり気持ちが変わったりしたときには書き直せばいいのです。
相続人が多数にのぼる、財産額や財産の内訳が多岐に渡る、相続人の関係性が良くないといった事情があるような場合は遺言書執行者を定めておくことで不安を軽減できます。