- 2024.03.15
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- 成年後見・任意後見
法定後見制度を利用するための手続きについて
申立人の資格は法律で決められており、本人または本人の四親等以内の親族が、申し立てを行うのが一般的です。申立人は必要書類を揃えて、家庭裁判所に申し立てを行います。 主な必要書類としては、診断書(家庭裁判所指定の診断書)、登記されていないことの証明書 (法務局)、戸籍・住民票、固定資産評価証明書、不動産などの登記事項証明書、預貯金・有価証券などの証明書等があります。いきなり申立書を作成するのではなく、まず主治医の診断書を入手すると良いです。診断書の内容により、後見・保佐・補助を分けられます。 成年後見人の手続きは申立人が家庭裁判所へ行います。申し立てができるのは本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。
その後、家庭裁判所では明らかな場合を除いて、家庭裁判所の調査官が本人や関係者と面談を行い、申立書に記載された内容をもとに、本人の状況などについて確認を行います。この面談は、原則として家庭裁判所で行われます。しかし本人が入院や歩行困難などの事情により、家庭裁判所まで行くことができない場合、家庭裁判所の調査官が出張して面談を行うこともあります。本人との面談を通して、判断能力を確認します。さらに、申立時に提出した診断書とは別に、裁判所が依頼する形で医師が本人の精神状態を鑑定します。家庭裁判所は、一切の事情を考慮して、後見人の選任を行います。したがって、申立時に後見人の候補者を立てたとしても、必ずしも候補者が選任されるとは限りません。
さらに、家庭裁判所が必要と認めた場合には、後見人を監督する「後見監督人」が選任される場合もあります。
家庭裁判所に選任された成年後見人は、最初に、本人の財産を調査し、生活状況を確認した上で、財産目録と年間収支予定表(以下「財産目録等」)を作成します。この財産目録等は、選任されてから1カ月以内に家庭裁判所に提出しなければなりません。最初の財産目録等を家庭裁判所に提出するまでは、成年後見人には緊急を要すること以外にその権限を行使することはできません。家庭裁判所に最初の財産目録等を提出したら、成年後見人として、本格的に本人の利益のために事務を行います。
財産目録等のほかにも、 成年後見人が本人の成年後見人であることを証明するために、後見用の登記事項証明書の提出が求められます。後見用の登記事項証明書は、郵送で請求する場合東京法務局後見登録課でしか取得できません。
法務局の窓口で請求する場合は、東京法務局後見登録課または全国の法務局・地方法務局の本局の戸籍課となります。
成年後見人の申し立てにあたっては、必ずかかる費用と場合によってはかかる費用があり、必ずかかる費用としては、収入印紙3400円(内訳:申立手数料800円、登記手数料2600円)
保佐・補助の場合で、代理権や同意権付与の申立を行う場合には、さらにそれぞれ800円分の収入印紙が必要です。登記手数料2600円については、申立書に貼らずに収入印紙のまま提出します。また、郵便切手3000~5000円分があります。準備する切手の種類・枚数については、事前に家庭裁判所に確認してください。郵便切手のまま裁判所に提出します。
場合によってかかる費用としては、鑑定書10~20万円程度があります。家庭裁判所が必要と判断した場合にかかる費用です。鑑定書を作成する医師(医療機関)により金額が異なります。なお、その他申立書に貼付する必要書類の取得費用があります。
申し立て後、早ければ2週間程度で、家庭裁判所は後見人選任の審判をします。家庭裁判所は本人と後見人に対して、後見人に選任された旨の審判書を送付します。本人と後見人が審判書を受け取ってから2週間後に審判が確定します。
この審判が確定した時から後見人としての仕事がスタートします。早ければ、申立書を家庭裁判所に提出してから1カ月程度で後見人の仕事がスタートします。しかし、申立書や必要書類に不備があったり、本人との面談の有無、鑑定の有無、監督人選任などの事情がある場合には、申立書の提出から後見人の仕事が開始するまで半年を超えることもあります。