お知らせ

2024.05.30
  • 成年後見・任意後見

後見制度本人申立費用の支援について

はじめに

近年、身寄りがないうえに判断能力が低下し、自身で財産管理をすることが困難な高齢者の方が多くいらっしゃいます。

後見制度の利用には申立人が必要であり、本人以外の親族等が申立人になることが一般的ですが、本人が行うことも可能です。既に判断能力が低下していて後見制度を利用する本人であるにも関わらず、手続き能力は認められるのかという疑問に関しては、家事事件手続法118条(※)に明記され認められます。

※家事事件手続法118条・・・次に掲げる審判事件(第一号、第四号及び第六号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。
後見開始の審判事件 (以下省略)

法テラスによる本人申立の支援について

保佐・補助相当では、資産等の基準を満たす場合に法テラスの民事法律扶助制度を利用することが可能です。民事法律扶助制度とは、着手金を法テラスに立て替えてもらい、分割で費用の返済を本人が行うものとなります。申立手続きを代理する司法書士は法テラスの登録司法書士の必要があります。

後見相当の場合は、上記に記載した手続法118条がありますが、法テラスでは手続き能力が無いと考え、現状では民事法律扶助制度を利用することができません。

自治体による本人申立等の支援について

親族などに申立人がいない場合、条件を満たした場合に各市町村長によって申立が行われることもあります。その場合は、費用は各自治体が負担しますが、後日分割により本人の財産から分割して返済がされます。

また、本人が申立の場合の費用を支援する自治体を調査したところ、湯河原町、真鶴町、箱根町、大磯町、中井町は支援がない状況でした。首長申立のみ行われています。

本人申立の支援がある自治体の例として、小田原市では令和6年4月より本人又は親族の申立の場合、報酬費用と申立費用の助成が受けられます。内容としては市の方で費用を支払ってもらい、基本的には分割で本人の財産から返還することとなります。

新宿区では、申立費用及び報酬費用を本人が一度支払う必要がありますが、費用が確定すると本人に費用が返還されます。

おわりに

このように、市町村によって支援の状況が違いますが、私見としては、支援が必要な方のいち早い環境改善のために、一律に支援を受けられるようになることが必要なのではと思います。

(文責:山崎)