お知らせ

2024.03.14
  • 家族信託

家族信託の受託者が亡くなった時はどうする?

家族信託において一般的には委託者(親)の方が受託者(子)より年齢的に先に死亡する場合の方が割合としては多いですが、不慮の事故や突然の病気等により受託者が委託者より先に亡くなってしまうこともあります。その場合でも原則として信託契約は終了しません。受託者の地位は相続の対象外となりますので、その相続人は受託者の地位を承継しませんし、信託財産は当該受託者の相続財産にもなりません。相続人は知れたる受益者に受託者死亡の旨を通知し、新受託者が信託事務の処理をすることができるまで信託財産を保管し信託事務の引継ぎに必要な行為を行う義務を負うにとどまります。

例外として、信託行為に「受託者が死亡した場合には信託は終了する」旨の定めがされていたとき、および受託者が死亡した後、新たな受託者がいない状態が一年続いたとき信託は終了します。実質的に機能していない受託者不在の信託を長期間継続させておくことは好ましくないからです。そのため、家族信託を終了させたくないのであれば早めに新受託者を決め信託事務を引き継ぐ必要があります。

新受託者の決め方は次のとおりです

  1. 信託契約で特定の人物を指名しておく
    ただし、定められた人物の就任承諾が必要です。第二第三候補を定めることもできます。
  2. 信託契約で新受託者の選任方法を定めておく  
    「後継受託者はAが決定する」など後継受託者を選任する権限を有する人物を指名しておくなどです。この場合も選任された人物による就任承諾が必要です。
  3. 信託契約で新受託者の規定がない場合、委託者(兼受益者)が選任できる
    委託者と受益者が別の場合は両者が相談して決めることができます。また委託者が死亡 等により不在の場合は受益者のみで決めることもできます。
  4. 裁判所に新受託者を選任してもらう
    委託者と受益者との話し合いがまとまらないなど、必要があると認められたときは裁判所により新受託者を決めてもらうことができます。

新受託者への引継ぎは次のとおりです

  1. 信託財産に不動産が含まれる場合
    新受託者への名義変更登記が必要になります。登記は新受託者からの単独申請となります。登録免許税は非課税です。信託登記の受託者欄は登記官が変更してくれますので新受託者が変更の申請を別途行う必要はありません。
  2. 預貯金について
    信託口口座に預けている預貯金等については、信託契約書など新受託者についての証明書類を提出すれば引継ぎが可能です。ただし、受託者個人の普通口座を受託口座(信託専用口座)として利用している場合は口座開設者である受託者死亡のため通常の相続手続きによる解約をする必要があります。